デザインをとるのか性能を取るのか。
当然どちらも取りたいところですが、昔設計の仕事を始めたときは「オシャレしたいなら多少の寒さはガマン!」みたいに、性能よりも見た目の美しさを重要視するような時代もありました。
それはデザインをこだわるのが仕事でもあるし、また性能を重視した住宅に魅力を感じないという気持ちもあったと思います。
まぁ個人の見解は置いといて、、、環境問題は日々深刻化しており待ってはくれません。
建物新築時には一定の性能基準が義務化されており、建物の性能を数字で表し「見える化」しないといけない時代が来ています。
そんなことで、城陽の家の性能を数値にしてみました。
リビングは吹抜と連続した開口部があり、ここから庭やお隣のお寺の桜の木が眺められるとても気持ちの良い空間となっております。
外観、内観はこんな感じです。
家の性能を数値化しました。それがこちら
●外皮平均熱貫流率:Ua=0.57(W/㎡K)
●熱損失係数:Q=1.79(W/㎡K)
●冷房期の平均日射熱取得率: ηAC =1.70
H28省エネ基準で言うと、 Ua=0.87、 ηAC =3.0なので、基準値よりも35~45%ほど性能が良いという事になります。
ちなみに、省エネ基準よりもさらに厳しいHEAT20という指針のG1グレードとほぼ同じ性能となります(Ua=0.56)。
※余談ですがこの住宅は、耐震等級3を取得しましたので長期優良住宅の基準は軽くクリアしています。
もっと性能の高い住宅を建てられている住宅メーカーさんや工務店さんもたくさんありますし、この数値が自慢できるものでも決してなく、「そこそこ良い」ぐらいだと思います。
ただ求めているデザインを満足にしつつ、高い断熱性能も普通に実現できたことに意味があるように思いました。
また上記の数値は建物全体の評価で、空間ごとにムラが出るかと思います。
例えばリビング。吹抜越しの大開口は断熱材入りの壁に比べると冬場の冷気は入りやすいと思います。
ですがここを大開口とすることで外部を全力で取り込み、開放感と清々しい心地よさという、数値では表せれない快適さを手に入れることが出来ました。
デザインというのは、見た目だけではなく使い勝手や心地よさ、安心感などと深い関わりがありますので、当然断熱性能や耐震性能といったものも含まれているのだと思います。
ですので僕は、高性能や高断熱住宅というのを推すのではなく、縁の下の力持ち的なと言いますか、これを意識しながらもデザインにこだわったシンプルな住宅をつくっていきたいと思います。